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元救命看護師が語る給料事情

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元救命看護師が語る給料事情


こんにちわ。
東日本ナース協議会の長谷川です。

先日開催した救命ナース勉強会は、全国から127名の方々にご参加いただけました。
私個人としても、懐かしいメンバーと久しぶりの再開ができ、とても充実した時間でした。

参加された方、そしてボランティアで運営をしていただいた方々に、この場を借りてお礼を申し上げさせていただきます。
大変ありがとうございましたm(__)m

さて。
当日「救命に転職したい人へ」というテーマで山本さんに講演をして頂きました。
その講演には大きな反響があり、講演後の山本さんは質問攻めになっておりました。

そこで今回「山本さんが語る救命ナースの内情」として記事にする運びになりました。
救命に興味のある看護師の方、必見の内容です。

救命看護師の給料(山本さん談)

私は25歳からの5年間救命救急センターに勤務していました。

救命に転職したい皆さんが、まず気になるのはお給料事情だと思います(笑)

正直に暴露しますと、救命に転職した当時の年収は520万円ほどでした。
同じ病院に転職した皮膚科病棟の方が、25歳で年収450万円と言っていたので、救命の給料は月3万円ほど高いことになります。

救命の給料は、私の病院に限らず、一般の診療科よりも高いと言われています。
もちろん救命の基本給は、一般の診療科と変わりません。
特殊手当やオンコールで差が出る感じです。

転職から5年後の30歳の時は、年収660万円ほどになっていました(チームリーダーになって2年目)
救命は精神的な負担も大きいため、昇給額も大きく、ポジションによってはかなりの高待遇になります。

ちなみに救命の師長は、年収1000万円を超えていたくらいです。
師長の給料明細をチラ見した先輩がいて発覚。
その額になると社会保険料が月10万円ほど取られていて、先輩曰く「生々しい…」とのことでした。

救命看護師の生涯賃金

看護師の生涯賃金は1億8000万円ほどと言われています。

しかし救命看護師の生涯賃金は、それ以上になると言われています。

例えば私の場合は「倍ほどの金額になるのでは?」と予想しています。

それにはいくつか理由があります。
まず先ほども書きましたが、救命看護師は頂ける給料が高めです。

また「元救命」であれば、転職先でも給料が高くなります。
例えば、転職先は一般のナース以上に選り好みできるようになります。

救命の経歴は、やはり絶大です。
どこの病院からもお声掛けをいただけます。
有名病院や待遇の良い優良病院から、ヘッドハンティングがかかることもあります。

救命を辞めて一般科に転職しても、待遇の良い病院に転職しやすいため、給料は高く維持できます。
役職待遇で迎えられることも多いです。

また病院以外の仕事も優遇されていると感じました。

私事で恐縮ですが、育児中に常勤で働けない時は、一般の方向けに救命救急セミナーの講師をしたり、野外コンサートの医療責任者をしたり、某健康メディアで連載を書いたりしていました。(イベント責任者は1回10万円近くの謝礼を頂けかなり高額です)
救命時代の先輩方も、看護学校の講師、地域イベントの救護者、某テーマパークの看護責任者、雑誌への執筆、本の出版、医療機器開発のアドバイザーなど、副業をしながら結構な金額を稼いでいます。

また派遣や単発バイトに登録すれば、救命ナースは引っ張りだこです。
難しい現場も多いですが、それ相応のお給料が貰えます。

これらを生涯賃金に換算すれば、救命を経験することでかなり高額になるかと思います。

救命は尊敬される?

「救命ナースなの?カッコいい!!!」

テレビや映画の印象があるためなのか、救命ナースは一般の方から「すごい」と言われることが多いです。
恥ずかしながら本音を言えば、私はそれが嬉しくもあり「これからも頑張ろう!」というモチベーションにもなっていました。

また救命のイメージの良さからなのか、生活の中で優遇されることも経験しています。

例えば、賃貸マンションを借りるときに、その待遇の良さを感じました。
独身時代に借りたマンションの話ですが、なぜか敷金と礼金無料にしてもらえたのです。
しかも家賃まで5000円も下げてもらえる高待遇ぶりです。

不動産屋さんの話では、大家さんが私の職業を見て、たいそう喜んでいたそうです。
大家のおばあさんに挨拶してみると「あなた救命救急で働いてるの?すごいわねー。心強いわねー」と。
1階に住む高齢の大家さんが「私に何かあったらよろしくね♪」ということらしいのです(とても元気でピンピンされる方でしたが)

また救命は「社会奉仕的な仕事」というイメージもあるようで、そういった仕事に就いている人はトラブルを起こす確率が低く、住民の質が上がってうれしいらしいのです。

もちろんこれは救命以外の看護師でも同じだと思います。
例えば、住宅ローン審査などでは、看護師であれば審査に通りやすいと言われています。

ただし銀行マンの友人によれば「医師や看護師は、優遇してローンを受けられるが、手に職の強い診療科であればもっと有利になる」とのこと。
借入金額が増やせたり、最低金利で借りれたり、予想以上に有利になるようです。
実際、救命の先輩は「5500万円を借りて年0.45%」という医者やパイロット並みの低金利で家を建てています。

さて。
話は少し変わり、救命看護師は同じ看護師からも一目置かれたりもします。

例えば看護学校の同窓会に行けば「え!?アンタが救命でやってんの!?マジ!?」と、一同からビックリされることも経験しました。
のんびりした私のイメージと救命のミスマッチがそうさせるのかもしれません。

でも同じ看護師だからこそ、救命の難しさが分かるのだと思います。

同じような経験をされた救命ナースの方は多いかと思いますが、そんなちょっとした優越感に浸れるのも救命の良さかもしれません。
嫌味な言い方となりますが「救命は別格」というのは、日常の中でも感じることができます。

救命で身に付くもの

「お客様の中に、お医者様か看護師様は…」

テレビや映画でよく耳にするフレーズです。
実際、飛行機に乗ってみると意外とよく聞きます。

私は全国を飛び回っていた時期があったため(イベントの救護責任者)、その呼びかけに答えて、何度か対応したことがあります。

その対応は、まさに救命の仕事そのものです。

「救命で働いていたからこそ救えた命がある」

大袈裟な自慢なようにも聞こえますが、実際そういったケースもありました。
一緒に対処した医師の方からは「どちらで働いているんですか?なるほど救命ですか。どおりで手慣れてらっしゃる」と言っていただけたこともあります。
外国人の方が多い便だった時は、全員から拍手を頂けたり、握手を求められたり、少し恥ずかしい経験もしました。

また救護後に「毅然とテキパキ処置する姿に感動しました」と出版社の方に声をかけていただけ、それが縁で雑誌への連載をすることにもなりました。

飛行機以外でも、自動車事故を見かければすぐに駆け付けますし、海で溺れた方がいた時にはライフガードの方の手際の悪さに飛び出して行ってしまい、仕切ってしまったこともあります(後で感謝状を頂きました)

単発バイトでイベント救護に入ったときには、園内で転落事故があり、その救護を見ていた某リゾートクラブ経営者の方に、リゾート施設の救護責任者に誘っていただいたこともあります。

また救命のスキルは、家族や周りの人達を守るという意味にもなります。
幸いなことに身内ではまだそうした危機的な状況は経験していませんが、夫からは「キミがいてくれると安心」と言ってもらっています。

もちろん私が特別だとは全く思っておりません。

むしろ私は救命では出来損ないのほうでした。
救命にはもっとすごい看護師の方々が大勢います。

しかし落ちこぼれの私でも、救命で働いた経験があれば、こうした日常の突発的な事故へ冷静に対処できるスキルが身に付きます。

もちろん「お客様の中に」と呼びかけがあれば、看護師であれば誰でも「よし!いこう!」と考えると思います。
しかし「私に何ができるのか…」と引いてしまうこともあると思います。
私も救命で働くまではそうでした。

怖くて名乗り出ることができず、「なんで行かなかったんだ…」とその後何年も後悔をしました。

しかし救命を経験すると「私がいかなきゃ」という使命感が出てきます。
その場に立って冷静に処置できるスキルが身に付きます。
その場に立つ勇気が身に付きます。

救命とは、そうした強さが身に付く場所だと思うのです。

救命で失うもの

救命で働くと非常に多くのスキルが身に付きます。
しかも幅広い疾患に対応しているため、広範囲なスキルとなってくれます。

自画自賛になってしまいますが、新卒の頃の同期達と比べると、自分が成長しているのを感じます。

しかしそれにはそれなりの代償が必要でした。

毎日、急病者が運び込まれてきます。
毎日、ギリギリの命のやり取りです。
毎日、未知の対応に迫られます。

病棟から転職した私にとって、救命は毎日が異常事態の連続でした。

「今日のお昼ご飯は何にしよう」などと、考える余裕などありません。
常に全力を出し切り、ギリギリの中で働くことになります。
その精神的負担は予想以上に過酷でした。

実際、新しく配属した方は約半数が1年以内に辞めていきます(退職、転属を含めて)

そんな環境で生き残る看護師は、やはり強い人達です。
自分に厳しい方達ですが、他人にもその厳しさを求めます。
できない看護師には容赦なく引導が渡されます。

救命は毎日が非日常です。
そんな中で夜勤をこなし、辞めた方の穴埋めに入り、家に帰っても勉強は欠かせません。
夢の中でも働いているくらいです(朝からぐったりする)

救命で働くということは、仕事が中心の生活になるという意味でもあります。
それで結婚を逃した先輩もいますし、離婚した方もいます(例の年収1000万円の師長さん…)

私自身「やっぱり救命は無理…」「もう辞めよう…」と毎日のように思っていました。

しかしその苦労があったからこそ、今の自分があると思っています。
「救命での頑張りが、未来の自分を助けている」と、実感しています。

救命は失うものも多いです。
だからこそその代償として、強さを手に入れられる場所でもあるのです。

まとめ

救命の給料は高めです。
救命を辞めた後も、その経験を生かしてそれなりの生涯賃金を期待することができるでしょう。

また看護スキルを飛躍的に高めてくれる場でもあります。
人から慕われることも多いですし、もしもの時に誰かを守る力も身に付くでしょう。

社会的に意義のある職場だと思います。

ただし職場選びは慎重にしましょう。

救命は潰れる看護師が多いのも事実です。
フォロー体制がしっかり整った病院を探してください。

私は転職エージェントを利用しましたが、かなり細かな条件を付けて探してもらいました。
中途者への教育体制、OJT研修の方法、看護師の評価方法、看護方針、院内救急の有無、災害医療の方針、シフト体制、夜勤体制、残業の程度、看護師寮、福利厚生。
その他にも色々あるくらい条件を付けて求人を探してもらいました。

救命に転職するなら、しっかりと救命ナースとして育ててくれる職場を探しましょう。

「救命ならどこでもいい」なんて考えるのは無謀です。
自分を過信しすぎです。
高確率で潰れます。

私は「看護roo!」という転職サイトで、弱い自分でも育ててもらえる救命を探せました。
▶「看護roo!」とは?

救命は「看護roo!」の得意分野」でもあるそうです。
経験が浅い人ほど、上手に探しましょう。

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